変形性膝関節症とは?健康的に歩き続けるために

膝の痛みを感じている人

「歩く」ことや「運動」をすることは、ストレス解消や健康維持に良い効果をもたらしてくれます。
そしてそれは健康寿命へとつながってきます。

しかし、歩行や運動をストレスに感じてしまうことがあるなら、健康寿命を短くしてしまう可能性があります。
その要因の一つとして『変形性膝関節症』があげられます。
以前のブログ「膝痛の要因 変形性膝関節症になる前に」では膝の痛みや違和感をお持ちの方に向け、
膝痛全般のお話をさせていただきました。
この症状が続くなど、改善が見られない場合は変形性膝関節症と診断されることが多いです。

しかし、診断されたからと言って良くならないということはありません。
今回は健康寿命に影響を与える変形性膝関節症についてお伝えしていきます。

変形性膝関節症の症状と診断基準


変形性膝関節症の初期症状としては膝の違和感やこわばり、不安定感などを感じる方が多く、歩きはじめの痛み、立ち上がりの痛み、階段の上り降りなどの動作時痛が現れることもあります。
症状が進行してくると水が溜まってきたり、腫れが出てきて安静時でも痛みが現れるようになってきます。
これが慢性化してくると膝を曲げるのが困難になり、膝が伸びきらない症状も出てきます。
医療機関では膝関節の狭小具合を画像で確認し、下記5段階のグレードで進行具合を診断することが多いです。

【Kellgren-Lawrence(K-L)分類より引用】

私のところにも医療機関で膝の関節が狭くなっていると診断を受けている方が来られることがあります。
お話を伺うと、痛み止めやヒアルロン酸注射を受けていることが多いですが、根本的な解決になっていないのが現状です。

なぜ変形性膝関節症になるのか


膝関節は太ももと下腿と膝のお皿で形成された関節で、間にはクッションと言われる半月板があります。
膝関節の可動域は、曲げる動作が約140°、膝が伸びている状態では伸展や内旋、外旋はほぼ動くことはありません。
このように曲げる以外の動きがほとんどない膝関節。
しかし、股関節や足首の柔軟性が低下していると、
その分の動きを補おうと、膝関節が過剰に働く事になります。
その結果、膝周囲の靭帯や筋への負担が強くなり、関節内部の狭小やすり減りが起きやすくなります。
この状態が続くと変形性膝関節症になるリスクが高まります。

またケガや手術後などで半月板を損傷した経験がある方は、変形性膝関節症へと移行しやすいというデータもあります。
膝関節は人体の中でもっとも不安定な構造になっていると言えるかもしれません。

参考文献:半月板損傷が与えるOAへの影響

変形性膝関節症の痛みが起こるしくみ


変形性膝関節症と診断を受けたり、長い間膝の痛みを抱えている方はこの症状が無くなることはないと思われているかもしれません。
しかし痛みを感じる神経は膝の関節軟骨にはなく、クッションの役割をしている半月板自体にもほとんどありません。

ではなぜ膝に痛みが発生するのでしょうか?
膝まわりには、筋膜・腱・靭帯・骨膜(骨を覆っている膜)などがあり、ここには痛みを感じる神経が存在しています。
それらに負担がかかっていたり、緊張状態にあると膝の痛みとして症状が出てしまうのです。

その為、膝への負担につながっている身体の歪みを改善し、膝周囲の筋緊張を緩和することで、膝関節の痛みや違和感の改善につなげることができます。

参考文献:ヒト半月板の血管と神経の供給

慢性化している膝痛改善に向けて


慢性化している膝の痛みを起こしている原因の一つは痛む膝をかばっていることです。
痛む側の股関節と足首の可動域を広げながら膝を動かすケアをすることが大切です。

・太もも外側をゆるめて膝をラクにするタオルケア
太もも外側には膝関節を安定させる筋肉、靭帯があります。外側の筋緊張が強くなると
膝の動きが制限されてきますので、和らげることで膝痛の改善に効果的です。

①バスタオルをややきつめに巻いて円柱状にします
外ももへの圧をじんわりかけるための「ケア用ローラー」となります

 

 

②横向きに寝て、膝を軽く曲げます
丸めたバスタオルなどを骨盤の少し下(太ももの付け根あたり)にセットします

 

 

③体の重みをゆっくりタオルに預けるようにして外ももへ圧をかけていきます
2〜3分程キープすると効果的です

 

 

・膝裏をゆるめて膝をラクにするタオルケア
膝裏には膝の動きと関連する靭帯があります。
筋緊張を和らげることによって靭帯や関節の動きをなめらかに保つことができるため膝痛の改善に重要です

①ベットや床に座り、片足を前に出します

②膝の真下に丸めたバスタオルをセットします

 

 

③膝裏に親指以外の四指を当てます

膝でタオルをやさしく押しつぶすように体重をかけていきます

 

 

「膝痛の要因 変形性膝関節症になる前に」では
膝痛予防に有効なセルフケアもご紹介していますので、合わせて行ってみてください。

膝痛がもたらす社会課題


膝の痛みが社会課題につながっているとは、大げさだと思われるかもしれません。
しかし、膝痛や腰痛で日常生活が困難になり、介護が必要になるケースは少なくありません。
厚生労働省の調査によると、変形性関節症を含む関節疾患は、認知症や脳卒中と並ぶほどの高い割合を占めており、社会的な課題となっているのが現実です。
「今はたまに痛むだけ」と放置すると、急な症状の悪化に対応できず、改善にも時間と労力がかかります。
さらに、「どうせ治らない」と諦めてしまうケースもよく聞きます。
そうなる前に、痛みや違和感の原因を理解し、適切に解消していくことが大切です。
これは、生活の質を維持・向上させるだけでなく、将来の不安を減らす事にもつながります。
ひいては、医療や介護負担軽減への貢献にもつながるかもしれません。


当院では、慢性化した膝の痛みに対して専門的なアプローチを行い、早期改善をサポートしております。
今の症状に慣れる必要も、我慢し続ける必要もありません。
少しでも気になる症状や不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

慢性痛治療院ARAI

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