「腰痛サポーターをしていると安心する」という方は多くいるかと思います。
確かに、サポーターは腰を固定し、動作を楽にしてくれる便利な道具です。
つけているときは固定されて痛くないかもしれませんが、「つけっぱなし」によるデメリットもあることをご存じでしょうか。
今回は、腰痛サポーターの効果についてお伝えしていきます。
腰痛【コルセット】サポーターの役割とは
腰痛に悩んでいる方の中には、「腰痛サポーター」や「腰用コルセット」を使って対処されている方も少なくないかと思います。
腰痛サポーターは、痛みが発生したときに一時的に使用することで、体幹部の可動域を制限して、腰周辺の筋肉や関節への負担を軽減できるメリットがあります。
特に急性腰痛(ぎっくり腰)の初期段階のような、痛みが強くて身動きがとれない状態の場合、腰へ負担をかけずにいかに安静にできるかが重要になります。
このような状態での腰痛サポーターの使用は、炎症を抑え痛みの症状改善への手助けとなります。
つまり「痛みのピークを超えるまでのサポート役」としては非常に有用な存在です。
参考文献:腰痛サポーターが伸展動作を制限して筋肉への負担を軽減している研究
腰痛サポーターの長期使用によるデメリット
「腰痛にはサポーターが良い」と思われている方も多いかと思いますが、長期間の使用にはデメリットもあります。
これは腰痛サポーター最大の特性である、可動域を制限できるメリットが悪影響に転じるためです。
急性期の痛みに対しては安静をベースに炎症を抑えていきますが、
長期間使用することで股関節や上半身の動きが狭まり、逆に筋緊張が生まれていきます。
このことにより急性の痛みが治まっても慢性化し、腰痛へと移行してしまうということになります。
日本整形外科学会が監修している『腰痛診療ガイドライン2019』によると コルセットや腰痛ベルトは、急性期(ぎっくり腰など)への短期間使用での一部有効性を示し、慢性腰痛への長期間使用での効果は乏しいことが記されています。
また、「サポーターやコルセットをしているから大丈夫」、という心理的影響から腰痛へのケアが乏しくなったり、負荷をかけていることに気付かなかったりすることにつながる可能性もあります。
健康寿命を支える腰痛セルフケア
日常生活の大きな負担となる腰痛。
腰痛サポーターは、急性期の腰痛緩和効果はありますが、長く頼り続けることはおすすめできません。
使い続けることで身体の動きが制限され、正しい身体の動きができにくくなる、柔軟性が衰える、筋力低下を招く、などの恐れがあります。
その結果、関節周囲への負担が増え、腰痛が長引いてしまうことがあります。
こうした状態が続くと、筋力や体力が低下し、生活の質や「健康寿命」に影響を及ぼすことも考えられます。
だからこそ、筋肉の緊張を緩和して、関節を動かし続ける習慣が重要です。
ここでは、腰痛サポーターに頼りすぎず、日常生活で簡単にできるセルフケア方法をご紹介します。
◎太もも前面を押しながらおじぎで腰痛ケア
太ももの前側を押さえて一時的に股関節の可動域を広げ、腰への負担を軽減していきます
このケアは、ぎっくり腰の発生初期で立ち上がり動作がつらい場合にも効果的です

① 椅子に座る
足を肩幅に開き、両手を太ももの付け根(股関節前側)に置いて太もも前面に圧をかけていきます
② 上体をゆっくり前傾していきます
前傾の体勢で腰の痛みが軽減されていればOKです
※慣れてきたら、前屈やおじぎ動作をして可動域を増やしていきましょう
※ご自身にとって心地よい回数や時間で行ってください
◎お尻を伸ばしながら前かがみ腰痛ケア
お尻の筋肉をゆるめて股関節の動きをスムーズにし、腰への負担を軽減していくセルフケアです
①椅子に座る
椅子に浅く座り、背筋を軽く伸ばします
伸ばしたい側の足首~スネあたりを、反対側の太ももの上にのせます
② 足を手前に引きます
乗せた側の足首付近を手前に引いてきます。これによりお尻側の筋肉が伸びてきます
③ 胸をゆっくり近づける
息を吐きながら、背中を丸めすぎないように注意しつつ、胸を膝に近づけるように前かがみになります
※無理に胸を近づけず、ラクにできる範囲で行います
※慣れてきたら、少しずつ前に倒れる角度または足の位置をさらに手前に引いて可動域を大きくしていきます
※回数や時間は、ご自身が心地よいと感じる範囲で十分です
健康寿命をのばすための腰痛ケアの心得
腰痛サポーターやコルセットは、ぎっくり腰などの急な痛みが強いときに、とても頼りになる道具です。
しかし、デメリットもある事を意識し、「一時的なお助けアイテム」として活用し、痛みが落ち着いた後は 腰に負担がかかっている筋肉や関節へのケアを習慣化することが大切です。
- サポーターは“使い続ける”のではなく、“使いどころを見極める”
- 痛みが落ち着いたらセルフケアで身体本来の動きを取り戻す
- 将来的な健康寿命を守るための習慣づくりが重要
「腰を支えてくれる道具」と「自分の体を動かす力」。
この2つをバランスよく使い分けることが、腰痛を防ぎ、健康寿命をのばすポイントになります。
当院では、腰痛の根本原因を全身の動きや筋肉の緊張から丁寧に見極め、施術を行っています。
お身体の状態に合わせた無理のないケアもご提案していますので、痛みやつらさに慣れてしまう前に、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献:
非特異的急性腰痛に腰椎ベルトは有効、若干の腹筋活動の低下を示唆する研究報告‐イエナ大学病院所属研究者(ドイツ)
資材運搬業務を対象とした腰痛ベルトの予防効果に関する科学的根拠の欠如報告/米国JAMA医学ジャーナル
腰痛ベルト着用は体幹の屈曲及び伸展を制限させて身体的、心理的負担を軽減する働きがあることの研究報告/カナダモントリオール
腰痛ベルトは自然な身体の動きを妨げる可能性を示唆するとの研究報告/
ルイジアナ州立大学(アメリカ)
コルセット着用時の内腹斜筋や腹直筋の活動が低下する研究報告/医療技術学部/川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)
産業界における腰痛サポーターは腰痛の減少につながらないとの研究報告/282人6か月間の追跡調査/オランダ航空会社の貨物部門

